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たられば書店 (仮称) 開業日誌

大阪・守口市に「まちの本屋」(たられば書店[仮称])を開こうとする試み

すべからく、こと、山本大介と申します。
大阪府・守口市近辺で本屋を開業しようと思っています。(今のところ)屋号は「たられば書店」。
日頃忘れてしまいがち/あきらめてしまいがちなこと、「もし、…し『たら』/きっと、…す『れば』」を叶えられそうな場所をつくりたいと思っています。

普段は4才の男の子の父親であり、現役「主夫」です。

いま、どんな本屋が求められているのか? ぼくはどんな本屋がしたいのか?
書店業にはほぼ就いたことのない、ずぶの素人ですが、そんなぼくが考え、実行する記録です。
※2014年12月以降、ずいぶん更新停止していましたが、再開しました。(2016.2.25~)

にちじょうごともちらほら書いています。にちじょうと本(屋)は地続きだと信じているので。



「ひなたブック」(箕面市)という地平

地獄大使の中途半端っぷり

 2016年度スタート2日目のきょうは、雨の一日だった昨日とは違い、少しどんよりとはしていたが雨も降らず、暖かな一日だった。
 朝から、イオンシネマ大日に息子と映画「仮面ライダー1号」を観に。9:15からの上映回だったのだけど、お客さんはチラホラ。なかでも、大人(男性)のみ1人で来ている、という人が目立った。子連れは、ぼくらとあと3組ぐらい。
 映画の感想は、申し訳ないけど、上映時間中、半分ぐらいは寝てしまっていたので、書けない。でも、ぼくのなかの本郷猛像と、この作品に出ていた仮面ライダー1号の本郷猛は、まったく異なるものだった。むしろというか、予想はできていたが「藤岡弘、」が前面に出すぎていて、少々残念(あの、ムキムキ感というか、ボテボテな体格はほんとうにガッカリ)。でも、大杉漣が役を務めた地獄大使は、なんか、ものすごく中途半端で、それが良かった。息子は、家から、一昨日買ってあげた「仮面ライダーゴースト 変身ブレス DXメガウルオウダー&ネクロムゴーストアイコン」を左手に付けて映画に挑み、けっこう楽しんでいたようなので、何より。
 あ、これもほんとうに予想していたけど、歴代仮面ライダーが「アイコン」になって登場し、ゴーストやスペクターに「のりうつって」戦うシーンは、もはやギャグを越えた新手のパロディで、笑えて仕方なかった。もう少し、今放送中のテレビシリーズ「仮面ライダーゴースト」とのストーリーの融合があると良かったのだけど、良くも悪くも、藤岡弘、ありき、のそういった作品だったように思う。

■ 桜のない「お花見会」

 映画を観た後、イオンシネマ大日(大日駅)から京阪バスに乗って地下鉄守口まで、そこから桃町緑道公園を歩いて、八島さくら公園へ。息子がまだ保育所に通う前に、よく会っていたママ友さんたちの「お花見会」に呼んでもらっていた。
 桃町緑道公園の桜は、すでに見事に咲いていて、なかなかの見応え。ただ、肝心の八島さくら公園の桜は、八重桜のようで、蕾は大きくなっているものの開花しておらず、「お花見」とはいかなかった。公園に隣接している八島町会集会所を貸してもらっていたようで、集会所内で昼食。息子は、最初、なかなか他の子どもたちと馴染めなかったものの、すぐに溶け込み、楽しく遊んでいた。ぼくは、久しぶりに会うママ友さんたちと少し話したり、息子や他の子どもたちと遊んだり。
 そうこうしているうちに美容院に行っていた妻がやってきて、ぼくは、公園のすぐ北側にある芦間高校で行われていた「お花見会」に行きたかったので、バトンタッチする。ぼくが、芦間高校に向かおうとしていると、息子も「行くー」と言い出して、ふたりで。もうすでに「お花見会」は終了間際だったのだが、そこで、息子の保育所のM先生と出会う。どうやら先生の息子さんが芦間高校の卒業生のようで、お手伝いされているらしかった。息子は、M先生からたくさんのお菓子をもらい、ぼくもコーヒーをいただいて、校内の桜を眺めながらぼんやり。
 他の学校でもあるのかもしれないが、学校と地域がどんどん隔離していっている現在、こうして地域住民との交流をはかろうとする試み(それも公立高校で)は、とても好感がもてた。すでに13回目の開催らしい(ぼくが訪れたのは初めてだったが、妻と息子は、以前に一度行ったことがあった)。息子をまた八島さくら公園へ送り、ぼくは帰路へ。帰りに外島北公園の桜も眺めた。
 帰宅して、久しぶりにテレビでプロ野球阪神-横浜DeNA)観戦。よみうりテレビ。30分も見ないうちに寝てしまう。そして、17時すぎ、息子が寝ているぼくのお腹の上にいきなり飛び乗ってきて「ブフォッ!」となって、目が覚めた。

■ イラストカット集のような絵柄(もちろん良い意味で)

 夕食後(今夜は、妻がつくってくれた)、息子と、きょうAmazonマーケットプレイス)から届いた、さいとうしのぶ『しりとりしましょ!―たべものあいうえお』を読む。
 先週(3/26)参加した、「さいとうしのぶ・絵本ワールド」@守口市生涯学習情報センター(ムーブ21)(参照)で、さいとうさんが読んでくれたこの作品。すごくおもしろくて、実際に読んでみたかった。登場する「たべもの」にかなり無理があるのが秀逸。「ずんだもち」とか「いかめし」とか、ふつうなかなか子ども向けの絵本に登場しないキャラクターだ。さいとうさんの絵柄も、ぼくはとても好きだ。クセがなく、良い意味で「(保育所や幼稚園、学校で使える)イラストカット集」のような、素朴感がある。
 『しりとりしましょ!―たべものあいうえお』は、息子もかなり気に入ったようで、何より。ただ、五十音→濁点(がぎぐげご、だぢづでど…など)としりとりが延々続けられるので、疲れているときの読み聞かせには向かない。どこで区切ってよいのかもわからず、けっこう疲れた。「ん」がつく食べ物が出てくると、「しりとり番犬」が出てきて「逮捕」されるのだが、今夜は「じゃ、次に『しりとり番犬』が出てきたら、読むの、終わりな」と言って、だ行を読み始めたのだが、なかなか「しりとり番犬」が登場せず、クタクタに。

しりとりしましょ!―たべものあいうえお

しりとりしましょ!―たべものあいうえお

 夜、先日、知り合った伊丹市在住のTさんより、電話。この日誌を「おもしろい」と言ってくださる。「よければ、何か『冊子』のようなものにしませんか?」とも。ありがたいお言葉。

■ 「ひなたブック」について書くということ

 先日(3/30)の日誌で、ぼくは、

息子を連れて、兵庫・三田市にある「有馬富士公園」へ、約3年前に参加していた「ノーバディーズ・パーフェクト」という講座@クレオ大阪東で知り合った、Wとその子どもたち2人、Hとその子ども1人と遊びに行った。目一杯、公園で遊んだ後、「たられば書店」のfacebookページに、先日コメントをくださった、大阪・箕面市にある「ひなたブック」を訪れたのだが、そこで、ぼくは、とてつもない経験をすることになった。ぼくのこれまでの(古)本屋感というものを、良い意味でガラガラと崩してしまう、そういう経験だった。だが、それについては、また別の日に書きたいと思う。

エキスな週末 - たられば書店 (仮称) 開業日誌

 と、書いた。

 「ひなたブック」については、3/28(月)の夕方に訪れた後、すぐにでもその感想を書きたかった。
 でも、↑でも「ぼくのこれまでの(古)本屋感というものを、良い意味でガラガラと崩してしまう、そういう経験」をしたと書いたが、きちんと店主・Kさんにお話をお伺いしないままに(当日は、息子連れだったし、もうすでに時間が遅く、息子をはやく連れて帰らないと、という思いも強かったので、ほとんどお話を聞けなかった)、「ひなたブック」について書いてしまうことは、(こんなぼくでも)「危ない」というか、「良くない」というか、すばらしすぎる本屋さんであるがゆえに、ぼくが1時間ほどしか滞在していないうえで書いたことが、(こんな辺境ブログで、ほとんど誰も読んでいないけれど、たまたま)読んだ人に「ひなたブック」について、妙な印象づけをしてしまうのではないか? という気持ちとともに、今、こうして開業準備をしているぼくが、「ひなたブック」について考えてしまうと、「こんなお店を目指したい」とか「こんなお店であらねばならないのではないか」など、妙なプレッシャーみたいなものがじぶんのなかから湧いてきて、開業に向けての「勢い」がなくなってしまうのではないか、という個人的な心配もある。そういう意味で、「危ない」というか、「良くない」と思っている。
 でも、ぼくは、きょう、書いてみようと思う。書いてみて、何かもっと知りたくなったり、Kさんに訊きたくなったら、そのうえで、また「ひなたブック」を訪れ、加筆・修正すればいい、今夜、やっとそう開き直ることができた。
 その日、撮った写真も、あまりにも「すごい本屋を見た」という緊張から(?)、ほとんどの写真がブレブレで申し訳ないけれど、これもまたその日のぼくの心情を的確に写しだしているので、このまま掲載させてもらおうと思う(Kさん、ごめんなさい)。

北摂里山街道

 「ひなたブック」のKさんから、「たられば書店」のfacebookページにコメントをいただいたのは、3/27(日)のことだった(参照)。
 その日、ぼくは、夕方から京都に行っていて(参照)、帰宅したのは0時すぎ。そのときに、コメントをいただいていることに気づいた。ぼくが以前、息子と訪れた、大阪・豊中blackbirdbookさん(参照)さん経由で、「たられば書店」のことを知っていただいたのだということだったが、そのコメントに気づいてから、ネットで「ひなたブック」と検索しても、facebookページはヒットするものの、お店のホームページどころか、メディア紹介などのページはヒットせず、ほぼ個人のブログだった(ひなたブック - Google 検索)。唯一「図鑑に載ってない人 blog」に掲載されているもの(2年前)が、ネット内で詳しく見られる「ひなたブック」の、そして、Kさんの姿だった。
 まず、ぼくは、その点がとても(いろんな意味で)気になった。「図鑑に載ってない人 blog」を読むと、Kさんは「『ひなたブック』のHPやWebサイトは敢えて作ってはいない」と仰っているらしいし、「苦手だという取材」という記載もあった。
 「…これは、Kさんは、よほどの頑固親父か、はたまた変わり者か、もしくは、すばらしい人柄の方か、訪れるのは、ちょっとこわいな」と、正直ぼくは思った。ただ、そのページには「人を惹き付ける小林さんの雰囲気、そして何よりも【人柄という才能】が、あるからに違いないと思った」とも書かれていて、そっちを信じたいと思った。

 3/28前日夜、息子もいっしょなので、どういう展開になるかは予想がつかなかったが、とりあえず、Googleマップで、兵庫・三田にある有馬富士公園から「ひなたブック」への経路と時間を調べておいた。約40km、車で約1時間15分。行けない距離ではなかった。ただ、「ひなたブック」の住所で検索すると、ぼくも以前行ったことがあるから、なんとなく予想がついたのだが、その場所は「箕面公園」内にあり、紅葉時には一大観光スポットとなる「箕面の滝」に続く、あの滝道沿いにあった。「図鑑に載ってない人 blog」に掲載されていた時点では、お店は箕面駅近くにあったようだが、移店されたのだろうか、ほんとうにあの滝道沿いに(古)本屋が? と半信半疑だった。

 そして、当日、有馬富士公園で目一杯遊んだ後、息子に「なぁ、お父さん、また○○(息子の名前)といっしょに『絵本屋さん*1』行きたいねんけど、まだ元気ある? しんどかったら、もう帰ってもいいねんで」と訊くと、「いいよ、元気!」と答えてくれたので、北摂里山街道と呼ばれる、とてものどかな風景をひたすら東へ車を走らせた。息子と、その日遊んだRくんやTくんとのいろんな話をしたり、歌を歌ったりしながら。

https://www.instagram.com/p/BDfhTg2PXn_/
初めて滝が見える古本屋さんに来た。

■ !!!

 そして、阪急箕面駅近くまで来、カーナビの指示通り、やっぱり滝道沿いを不安になりながら登って、「ひなたブック」のお店の前に到着したのは、17:30すぎだった。
 ただ、その場所は、「ひなたブック」という看板はあるものの、外から見た感じでは、明らかに「おしゃれな喫茶店」で、古本屋さんではなかった。そして、お店の周辺は、滝道なので、もちろん駐車場はなく、箕面駅近くの駐車場に停め直して来ようかと思ったが、1時間15分のドライブに息子が疲れ、「おとうさん、まだ着かへんのー?」を連呼していたこともあって、きょうはとりあえず10分ぐらい、ちょっとお店を見させてもらえればいいか、と思い、閉店中の隣のお店の前に車を駐車し、店の前まで来てみて、「!!!」となった。
 お店の外に並べられている、均一本の棚にあった、福音館書店の「こどものとも」や傑作集などの絵本の品揃えがすばらし過ぎて、卒倒しそうだった。この本たちが「均一本」扱いされてていいのか?! そういう思いとともに、この本たちが「均一本」ということは、お店のなかにある本たちは、いったいどんな本たちなんだろう? と期待が膨らんだ。
 息子がトイレに行きたそうな様子だったこともあり、「はよ、『絵本屋さん』行こーやー!」と急かすので、きちんと絵本すら見られなかったが、「じゃあ、お店入ろか」と顔を上げたとき、お店のなかから男性が現れ、その人がすぐに店主のKさんだとわかった。Kさんも、おそらくすぐにぼくのことがわかったのだろう、「突然、申し訳ありません。守口の、たられば書店の山本です」と言うと、「あぁ、こんにちは。お店にどうぞ、どうぞ」と招き入れてくださった。「ひなたブック」は「CHA no Maー茶の間ー/TOKO no Ma-床の間-」という日本茶カフェの2Fにあり、Kさんに案内されて、2Fへの階段を昇り(その階段から踊り場にかけての両脇のスペースの棚に並べられている本やCDを見て、ムムムムッ!と、ぼくのツボにかなりのものが入ってきた)、そして、靴を脱いで、畳敷きのお店に入ると、「ギャーアッ!」と叫び出しそうになるぐらいの(実際に、叫んでいたかもしれない)質のいい本たち、そして、空間、奥に足を進めると、窓からは、箕面川の滝が見え、水音も聞こえ、そして、圧倒的な絵本。面陣してあり、すぐに目に付いた本だけでも、再度卒倒しそうになった。卒倒はしなかったが、ヘナヘナと畳に座り込んでしまった。


(↑卒倒しつつ、撮った写真)

■ ザ・古本屋からの「方向転換」

 息子は、すぐに並べられてあった絵本を手にとって、読み(見)始めた。「ABCの本もあるー!」と、外国絵本ばかり、最初は読んでいた。
 ぼくは、そばにいたKさんに、忙しいところ、案内してくださっているのだから、今のうちに何か訊きたいことを訊いておかないと、と思ったが、「へーぇ!」とか「ほーぉ!」とか「ええーっ!」とか、そんなことばしか口からは出てこなかった。ほんとうに驚いたときには、人間というのは、ことばを失うんだと、久しぶりにそのことを実感した。
 Kさんは、ぼくがそうしてバカみたいに、感嘆のため息を繰り返しているそばで、ニコニコと、ほんとうにニコニコとしていてくださり、息子が「おとうさん、これ読んでー」と、「おさるのジョージ」の絵本を持って来たとき*2、Kさんは、「どうぞ、ゆっくりしていってください。なかにはここで2~3時間ぐらい、ゆっくりされて帰る方もおられますし」と言って、階下に下りて行かれた。
 その後、文・木下順二/絵・清水崑かにむかし (岩波の子どもの本)*3』など、数冊を息子に読みつつ、ぼくは舌がまわらないほど、「ひなたブック」の店と、本とにやっぱり驚いていた。

かにむかし (岩波の子どもの本)

かにむかし (岩波の子どもの本)

 しばらくすると、再び、Kさんがお店に上がって来てくださった。ちょうどぼくは「ku:nel(クウネル)」のバックナンバーを手にしていたので、通常、他の古本屋さんやネットオークションでは、「ku:nel」なら、安くても400円ぐらい高いと800~1,000円ぐらい付けられていてもおかしくないのに、均一本の箱に入っており、「これ、こんな安く売っていいんですか?」と訊ねたら、Kさんは微笑されつつ、「ええ、いいんですよ」と仰り、「ぼく、最近、『ku:nel』については、いろいろと考えることがあって(参照)、こんなにたくさんの『ku:nel』と出会えるなんて、すごくうれしいです」と言うと、Kさんは「はい、(ブログを)読ませていただきました」と言われたので、ぼくはものすごく恐縮したが、さらにその箱を見ていると、「Olive」も何冊かあって、ほんとに驚いた。
 「ここに来るお客さんは、やっぱり、箕面公園や滝を見に来て、ふらりと立ち寄られる感じのお客さんが多いんですか?」と訊くと、「そうですね、でも、あとは地元の人もけっこう来ていただいています。ここに並べられている本も、お店を開いた、7年前は、『ザ・古本屋』という本を並べていたんですけど、地元の方に売っていただいたり、求められている本を伺うと、どうやら、『ザ・古本屋』という本ではなく、絵本やライフスタイルとか、今、このお店の主流になっている本だったんです。それで、こういう本も扱うようになったんです。ちょうどその頃、息子がこういう本を読んでいた時期で、息子の友だちのおかあさん方にも協力していただいたりしました」と答えられ、「お店はずっとこの場所で?」という問いには、「(箕面)駅の近くで6年、こちらのお店に移ってきて、約1年ぐらいです。ちょうどこの古民家が空いて、下のカフェ(「CHA no Maー茶の間ー/TOKO no Ma-床の間-」)の方が、声をかけてくださり、2Fでお店を開くことにしました」とKさん。
 「ひなたブック」に並べられている講談社文芸文庫や、晶文社ちくま文庫、ハヤカワ文庫(、創元推理文庫などもあっただろうか)、そして、王道の日本文学作品の各種単行本、さらに、前職で携わっておられたという音楽(ジャズなどのCD)の品揃えを見ていると、まさにKさんは、当初は『ザ・古本屋』をやりたかったのだろうと、想像できる。けれど、そういう本を並べつつも、地元の人たちのニーズ、求める本を中心に並べられることに対して、そのときの方向転換というか、ある種の「転向」には、かなりの決断が必要だったんではないだろうか? と、ぼくは勝手に想像したが(いや、むしろ、それをサラリとやってのけるのがKさんなのかもしれないとも思う)、ぼくも、一部の本マニアの人たちにもある部分において受け入れてもらいたいとは思うが、「たられば書店」では、できる限り、守口市に住む人たちに求められ、支えられる古本屋であり続けたいと思っているので、Kさんの意志に強く共感した。


(…ほんとうに、ブレブレ写真ばっかりで、申し訳ありません)

■ 息子が撮影した写真

 Kさんと話していると、そろそろ、ひとりで絵本を読む(見る)のにも飽きた息子が、「おとうさん、○○も写真撮らせて」というので、最初、一眼レフカメラを渡したのだが、すぐに妙なことになり、一瞬電源が入らなくなったので(こわかった!)、iPhoneを渡し、「これ、この白いボタン押したら、何枚でも撮れるから」と言うと、息子は、ものすごい連写を撮り始めた。後から、息子が撮った写真を見てみると、なかなか面白い写真もあった*4のだが、ぼくが、いちばん「おぉ」と思ったのは、↓の写真で、ぼくは、この写真で、初めて息子がぼくを見上げている「目線」を知った。そして、じぶんがどんな横顔で本棚を見ているのかも。
 世の中では、身長160数cmしかない+体重●●kgもあり、チビでデブな40代のおっさんでしかないぼくだが、息子から見ると、一応、背は高く、一応、大人として見えている(らしい)ということ、そのことが、この写真から見てとれて、ぼくはとても驚いた。そして、この写真を「ひなたブック」で息子が撮影したということが、きっと後になって、ぼく自身、いろいろと感じることがあるのではないか、そんなふうに思った。

 「とりあえず10分ぐらい」ぐらいのつもりが、気がつくと、1時間ほど滞在していた「ひなたブック」。
 ぼくは、笠野裕一『じてんしゃにのって こどものとも 1981年8月号 (こどものとも)』や、土屋耕一・さく/たざわしげる・絵『つつみがみっつ』、小海永二・作/柳原良平・絵『たぐぼーとのいちにち』、瀬田貞二・さく/山本忠敬・絵『こどものとも 年中向き 2000年5月 ピー、うみへいく』、スズキコージかれはふるふる ゆきがふる』、文・木下順二/絵・清水崑かにむかし (岩波の子どもの本)』、それから創刊号を含む「ku:nel(クウネル)」のバックナンバー、「Olive」のバックナンバー、さらに西加奈子まく子 (福音館の単行本)』を手にレジに向かい(そのレジがすごくよい空間だった)、「突然お伺いして、バタバタと申し訳ありません。またゆっくり来ますので、お話いろいろと聞かせてください」とKさんに言い、「たられば書店」の開業計画(そんなのあまりないのだが)などを話していると、「仕入れはどうされるんですか? ともかく、古本屋は仕入れ、品揃えが命ですから、その点だけはがんばってくださいね」とKさんは言われ、「また、いつでも来て下さい、お待ちしています」と仰ってくださった。

たぐぼーとのいちにち

たぐぼーとのいちにち

まく子 (福音館の単行本)

まく子 (福音館の単行本)

(息子が撮影したKさん↓。「おっちゃんも撮っちゃった」と。申し訳ありません…)

 お店を後にしたのは、もうすぐ暗くなろうかという、19時前。息子をチャイルドシートに乗せて、深々とKさんにお辞儀をし、車を走らせ、Kさんに教えてもらったとおり、滝道を少し上ったところで転回をし、滝道を下った。
 帰りに目にした夜の阪急箕面駅、そしてその周辺の雰囲気は、あきらかに大阪・北摂地域独特な少し「ハイソ」な装いが漂っており、カラオケ屋や飲み屋の呼び込みの声が響く京阪守口市駅周辺とはまったく違う。ここに住んでいる人たちだからこそ、「ひなたブック」は成り立つのかもしれない。けれども、ぼくが守口で「ひなたブック」と同じような品揃え(本の好みは、ぼくにドンピシャだったが)で「たられば書店」を開く必要はまったくないし、守口には守口で生活する人に必要で、求められている本がきっとある。とくにまだ不毛なカテゴライズにさらされていない子どもたちにとっては、どのジャンルのどの本だって、新鮮だろう。
 帰りの車中、北摂独特の緩い登り坂と下り坂の道を走りながら、息子とそれから寄ることにした「スーパー銭湯」の相談をしつつ(結局「箕面湯元 水春」というところに行った。平日にもかかわらず、ものすごく人の多いスーパー銭湯だった)、ぼくは、守口の人たちが求める本って、どういうものだろう? と思いを巡らせていた。ただ一点言えることは、いったん店を開いたとしても、開いてみた後の「方向転換」は可能だということも、「ひなたブック」は教えてくれている。何も店を凝り固まったまま続けていく必要はないのだ。

 結局、スーパー銭湯でゆっくりして、夕食もとって、帰宅したのは21時すぎだった。遠出した帰りの車中ではいつもすぐに寝息を立て始める息子が、なぜかこの日はハイテンションでずっと起きていた。「ひなたブック」に出会ったぼくのハイテンションが影響したのか。

■ 知らない本屋がまだ無数にあるという喜び

 「ひなたブック」。そしてKさん。
 これからのぼく、そして「たられば書店」にとって、なくてはならない存在だということは明らかだ。
 これまでほとんどメディアには登場していない「ひなたブック」だが、Kさんのお話では、今後、いろいろと新たな展開があるらしい。
 「ひなたブック」が広く知られるようになることは、いつまでも隠れ家的なものであって、いつでもKさんと気さくにお話をさせていただきたいと思うぼくにとって、個人的にはいろいろな思いがあるが、でも、その反面、「ひなたブック」こそ、世に知られるべきお店であり、たくさんの人に訪れてほしいと切に思う古本屋であると思うこともたしかだ。
 古本屋は、とくに本好きの人でもない限り、やはり敷居は高い。でも、一度入ってみてもらうと、そこで出会える本が、ジュンク堂書店紀伊國屋書店など、何万冊も何十万冊も(いや、それ以上?)品揃えがある新刊書店の比にはならないものだということが、きっとわかってもらえると思う。そういう、ふだん本を読まない、古本屋さんなんて行ったこともないという人にこそ訪れてほしいお店、それが、「ひなたブック」だと思う。

 Kさん、facebookページへのコメント、ほんとうにありがとうございました。
 まだどんな種類の本を並べるとか、まだぼくがどんな人間なのかを知らないうえで、コメントくださったこと、ほんとうに感謝しています。
 Kさんがコメントをくださっていなかったら、ぼくはまだ「ひなたブック」のことも、Kさんのことも知らないでいたと思います。
 「ひなたブック」を知ってて開店するのと、知らないで開店するのとでは、天と地ほどの差があったようにも思います。縁をつないでくださったblackbirdbookさんにも感謝です。
 ぜひ、また近いうちに、お店にお伺いします。息子や妻を連れて、そして、ひとりで。

 最後に、「写真、ブレブレで、ほんとうに申し訳ありません」。

 当然だが、大阪だけでも、まだまだぼくの知らない、古本屋、本屋というのは、無数にある。それがうれしい。

*1:今の息子にとっては、新刊書店も古本屋さんも専門書店もすべて「絵本屋さん」である。図書館もときどき「絵本屋」さんだと言う。今の息子にとって、本=絵本であり、そこには売り方や売られ方、そして並べられ方による妙なカテゴライズはない。ぼくはその感覚は間違っていないと思うし、ぼく自身そうありたいとも思う。

*2:ぼくは、こういうとき、手にとった本とか、息子に読んだ本とかは、ぜったいに覚えている方なのだが、この日はどんな「おさるのジョージ」本を読んだのか、一切記憶にない。それぐらい感嘆していた。そして、後から思い出したのだが、blackbirdbookさんに行ったときも、息子は「おさるのジョージ」を「読んで」と言って、読んだ[参照

*3:これは、書いたのが、木下順二だったこともあり、買って帰ったから、読んだことを覚えていた

*4:なぜか何枚も「Olive」の表紙になっている、ぼくが大好きな市川今日子タンを撮っていたり。息子よ、好みはいっしょか?

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