傍案者になりたい
昨夜(ゆうべ)は、21時ぐらいに妻と息子といったん寝て、23時ごろに目覚め、そのまま朝までパソコンに向かって格闘。
「ムームードメイン」や「プチ」で、「tarareba.jp」のページをつくったり、info@tarareba.jpのメール設定をしたり。
なにごともうまくいかず。
朝6時すぎに、いったん横になって、台風18号情報をNHKで。
7時時点で、守口市に暴風警報が出ており、息子の保育所は休所になるかと思いきや、7:30すぎには警報は解除。
結局、息子は「かいしゃいくー」と、妻が会社に連れて行ってくれることに。
雨が止んでいた9時前、リトルカブ(原付)に跨がって、梅田のAP大阪梅田茶屋町へ。
台風接近で、いろいろと連絡があったものの、当初の予定通り10時から「梅田 蔦屋書店」の説明会だった。
9:45ごろ、説明会会場に着くと、「A25」という番号札を渡され、席へ誘われる。集まったのは100人弱ぐらいの人々。きょうの説明会の参加者は、皆スーツだった。ぼくとあと何人かだけが非スーツ。でも、年齢層もバラバラで(70才ぐらいのおじいさんもいた)、おもしろい説明会だったように思う(といっても、ぼくは、こういう企業の「説明会」に参加したのは、生まれて初めてで、他の説明会がどんな場所なのか知らない)。
「梅田 蔦屋書店」の責任者・Oさんによるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)のコンセプトの説明からスタート。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、「これまでもこれからも『企画会社』だ」とアピールされ、くらり。
さらに、日本は、物がない時代、物があふれる時代を経て、今は「プラットフォーム」(物を売る場所)があふれる時代であり、そこでさらに物を売るには「提案力」が必要になってくる、と。提案力を担うのは何よりも人、そして、空間。その思いをもとに「代官山 蔦屋書店」や「函館 蔦屋書店」が生まれた。コンシュルジュという発想である。「モノ起点」(雑誌・コミック・文庫という商品分類)の流通から「スタイル起点」(旅、食、アートなどのジャンル分類)での商品の提案へ。そこでは、教室やイベントなど、本だけではなく、いろんな空間の複合体としての書店が生まれ、現在好評を得ている。
2015年、春オープンの梅田店(JR大阪三越伊勢丹・9階)は「代官山 蔦屋書店」と同じくらい、区画面積:約4,000平米、コンビニ30店舗分、1,228坪の広さだという(ちなみに、ぼくが今「たられば書店」の物件として目を付けている古民家は90平米。約45分の1の広さということになる)「1,000坪のカフェ」をキーワードとして、購買ターゲットは、梅田なので、老若男女「総花的」に狙っていくというお話。
お店では「ライフスタイルの提案」ということで、
・ラグジュアリーライフを提案する
・新しい働き方の提案
・コミュニケーションを豊かにする提案
・美と健康の提案
をコンセプトにし、本だけではなく、文具・雑貨・家電(キャリアを特化しない携帯電話売場)、サービス(写真サービス・ネイルサロンなど)の提供もふんだんに行い、「世界一長いマガジンストリート」(雑誌の平台棚)を設けるとも説明された。営業時間は朝7時~夜1時までを予定。なんともぜいたくな話で、驚いた。
ところで蔦屋書店が銘打つ「コンシュルジュ」とは、
経験に裏打ちされた「これいいですよ」という提案がお客様に出来る人。各ジャンルのスペシャリストとして、お客様と対話しながら、最高の提案と売り場作りをする人
なのだそう。
ひと通りの説明が1時間強で終わり、今度は参加者が「エントリーシート」とやらをモクモクと書く場に。
結局、いつものとおり、いろいろと書きすぎて(ぼくは「コンシュルジュ」というよりは、「傍案者*1」になりたい、なんて書いた)、提出したのは、ぼくがいちばん遅かった。
希望職種「書店のコンシュルジュ」のうち、応募時にはなかった「9.古書」というジャンルがあって驚いた。後から、スタッフの人に聞くと、「ラグジュアリーライフ」(要は「贅沢生活」ってことかな?)を提案するコンセプトの下、それを求めるニーズに応えるには「古書」も重要なジャンルになり得るのだと、話が出たのだという。
新刊と古書が並ぶ、それも梅田の一等地で。
ほんとうにそれが「うまく」実現すれば、なんとも刺激的な店になりそう。ぼくは、ファンになりそうだ。決して「ラグジュアリーライフ」を送りうる人間ではないことは、深く自覚しているけれど。
第1希望に「古書」、第2希望に「人文・文芸」、第3希望に「施設管理・総務」と書いて提出した。
この「たられば書店」のこと、こうして、書店の開業を目指していることも正直に書いた。「梅田 蔦屋書店」で働きたいと思うと同時に、書店開業も目指す。どう考えても、やっぱり、矛盾しているけれど。何事も同時進行、という発想と、単なるミーハー的応募でもあった。
9日までに電話か、メールで合否連絡があるそうだ。
その後、面接が17~19日、そして、採用されると12月上旬からオープニングスタッフとして働くことになる予定。
ぼくなんかが、次のステップに移れるとは思わないけれど、ぜひ面接ぐらいまでは通過して、「まちの本屋」とは違う本屋を目指すスタッフの人と「本屋」について語りたい。
(AP大阪梅田茶屋町の説明会会場)
■
説明会後、会場近くの丸善&ジュンク堂書店に寄って帰ろうかと思いつつ、書店に寄ると、また何か新しい本と出会いそうなので、止す。
その代わりのメガストア、というわけではないけれど、ヨドバシカメラに寄って、iPhone6の実機をすらすらと触ってみる。実は、明日、auショップで機種変更する予定になっている。きょうで、2年間お世話になったぼくにとって初めてのiPhone、iPhone5とお別れなのだ。少しやっぱりさみしい。この機種は、ぼくの専業主夫スタートからこれまでの時間とほぼ重なっている。この機種と、専業主夫のしんどさ、また「ズンドコ」生活をともにした。
小雨が降るなか、リトルカブに跨がり、帰路へ。
1号線沿いを走り、途中、千林商店街の入り口が見えてきたので、この間、商店街の書店巡りをしたときに、訪れられなかった「松田書店」(旭区森小路2)へ。
雑誌が縦横重なって平積みにされていたのが印象的だった。堀江貴文『刑務所なう。 完全版 (文春文庫)』が読みたくなるも、ガマン。やはりここも良い意味でも悪い意味でも「町の本屋」たり得ていた。商店街を歩いていた少年が「月刊 コロコロコミック 2014年 10月号 [雑誌]」(妖怪ウォッチの表紙)を見て、目をキラキラさせていた。そういう目のキラキラに出会えるのは、すばらしい。
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/09/13
- メディア: 雑誌
- この商品を含むブログを見る
(松田書店外観)
自宅近くのセブンイレブンで昼食の弁当を買い、きょうは息子がいない保育所へ、19日に開催される「保育所まつり」の前売りチケットを預け、さらに万代(スーパー)で夕食の材料を買い、帰宅。国会中継を見ながら、昼食を食べ、眠くなるかと横になるも、あまり眠気は襲ってこず、結局また起きて、パソコンを起動。
チラホラ、ネットを見る。岡山・真庭市勝山で書店を開こうとしている萱原正嗣さんの連載「町の本屋制作ノート」(#005 いま、町に本屋をつくるとしたら…後編)を読んで愕然とする。何に愕然って、ぼくは、開業資金のことばかりに目を奪われていたが(それだけでも大変な額だ)、当然だけれど、書店の経営って、それからが大変なのだということ。仕入れは、開業時の1度だけではなく、つねに行わなければならない。
本屋において、家賃と人件費はそれぞれ月商の1割程度に収めるのが定石とされる。
月に200万円の売上があったとして、160万円は仕入れの回収に充て、
40万円の粗利から家賃と人件費を払えば、それでも手元に残るものはほとんどない。
回収した160万円を再度仕入れに回しても、棚は元のサイズに戻るだけ、
同じ規模の棚を維持するのが精一杯だ。商売として考えるのをやめると、そこにもう一手を加えることができる。
役場の空きスペースや町の未利用物件を無償で使わせてもらうことができれば、
家賃を浮かすことができる。そうすれば、その分を本の仕入れに充て、
棚に並ぶ本を毎月少しずつ増やし、本屋を成長させていくことができる。
■
そうやって愕然としていたら、M不動産のYさんより、電話。「その後、どうですか?」と。
正直に、現況を伝える。今、ぼくが傾倒している「古民家」は、最初にK不動産が紹介・案内してくれたのだが、ぼくは店や担当者の相性としては、M不動産であり、Yさんともに申込や契約を済ませたい。M不動産には町に根ざしている感があるし、Yさんは余計な営業トークはしない(K不動産のIさんは、誠実なのだけど、トークがベタベタしている)。それに、Yさんは「古民家」を直接管理しているN不動産の方と、けっこう連絡を取り合ってくれているようで、きょうも「フリー、レント」(礼金だけ支払っておいて、家賃発生は、後日)の話がN不動産との間で出ている、とも言ってくれていた。20分ぐらい話した。
それから、なんだか電話慣れしてきた勢いを感じて、以前から気になっていた「子どもの文化普及協会」へ電話。取引契約の相談。
電話口に出たKさんは、とても誠実そうな耳触りのする声で、いろいろとアドヴァイスや質問に答えてくれた。要は、絵本専門店(在庫の7~8割が絵本)をするなら「子どもの文化普及協会」は応援できるが、文藝春秋、角川書店、新潮社などとは取引がないので、一般の「まちの本屋」をやりたいのなら、正攻法で、他の取次と契約した方がいいということや、(ぼくがもっとも扱いたい)福音館書店の月刊誌でも『母の友』と『たくさんのふしぎ』は扱っているが、他の月刊誌は扱っていない(!)など、出版社毎の細かい取り決めがあって、取引はあっても扱っていない雑誌も多々あるということだった。
ただ、大手取次と契約してしまうと、「ぼくが不要(並べたくない)と思っている本までどんどん配本されてきてしまって、ただただ返本作業に追われるようになる状況がこわい」などというぼくの相談にも、Kさんは真摯に耳を傾けてくれて「いつでも相談に乗るから、電話してください」と言ってもらえた。
その後、取次C社に電話。「業務は17時までなので」と電話の取次を断られる。取次C社は、先日、ホームページのメールフォームから問合せしているのに、なんの返答もなかったので電話したのだけれど、やっぱり、何かタイミングが合わないらしい。
さらに、取次A社の大阪支社に電話。営業担当のHさんが出てくれて、なんと8日(水)の午前中、「古民家」物件を見がてら、「電話ではなんなので」とぼくと会ってくれることになった。初の取次の人との打ち合わせ! 会ってくれるなんてすばらしい取次! と、少し興奮。
*1:お客さまのそばで案内したい、というぼくの造語