たられば書店 (仮称) 開業日誌

大阪・守口市に「まちの本屋」(たられば書店[仮称])を開こうとする試み

すべからく、こと、山本大介と申します。
大阪府・守口市近辺で本屋を開業しようと思っています。(今のところ)屋号は「たられば書店」。
日頃忘れてしまいがち/あきらめてしまいがちなこと、「もし、…し『たら』/きっと、…す『れば』」を叶えられそうな場所をつくりたいと思っています。

普段は4才の男の子の父親であり、現役「主夫」です。

いま、どんな本屋が求められているのか? ぼくはどんな本屋がしたいのか?
書店業にはほぼ就いたことのない、ずぶの素人ですが、そんなぼくが考え、実行する記録です。
※2014年12月以降、ずいぶん更新停止していましたが、再開しました。(2016.2.25~)

にちじょうごともちらほら書いています。にちじょうと本(屋)は地続きだと信じているので。



エキスな週末

■ ケ・セラ・セラ

 週末からこの数日、いろいろなことがあり、たくさんの人に出会った(再会も含む)。

 3/26(土)は、守口市生涯学習情報センター(ムーブ21)で開催されたイベント「さいとうしのぶ・絵本ワールド」への家族で参加した。
 前半は、たくさんの手づくり絵本、そして『まほうのれいぞうこ』や『しりとりしましょ!―たべものあいうえお』などの読み聞かせ。後半は、さいとうしのぶさんの代表作(原案・みねよう)『あっちゃんあがつく―たべものあいうえお』を、じぶんの名前でつくってみようと、ぼくら家族も挑戦。
 息子は、『とっちゃんとがつく』という題で、ハサミやノリも上手に使いながら、1冊の絵本をつくり上げた。ぼくは『だの本』、妻は『いただきま~す!』という題で、それぞれ楽しくつくった。息子がいなければ、もっと本格的な絵本をつくれたのに、と思わなくもなかったが、それはそれ。
 出来上がった絵本に、さいとうさんの絵とサインを。ぼくは『しりとりしましょ!―たべものあいうえお』に登場する「しりとり番犬」を描いてもらい、とても満足。さいとうさん、ありがとうございます!
 それにしても、ぼくが『だの本』をつくってるときに、大介の「け」の字が付くものが思い浮かばず、苦し紛れにドリス・デイ「ケ・セラ・セラ」を思いついて描いていたら、それを見たさいとうさんが「あ、とっても『らしい』ですね!」って言ってくださったのだけど、ほとんどお話ししていないのに、ぼくが「ケ・セラ・セラ」(なるようになる)的人生を送っていることが、見破られてしまったのだろうか。恐ろしや、絵本作家!

まほうのれいぞうこ

まほうのれいぞうこ

ドリス・デイ AO-004

ドリス・デイ AO-004


kyudou kagoshima ケ・セラ・セラ訳詞付) ドリス・デイ - YouTube2

 その後、中学時代の吹奏楽部のプチ同窓会に出席。18:00~、「薩摩ごかもん(京橋本店)」。結局、7名が集まってくれた。I先生は、いろいろあって参加されず残念。
 6年前の2010年5月に、大きな同窓会を開いたのだが、それ以来に会う人もいれば、2~3年ぶりに会う人もいて。みんな15才だったのに、いつの間にか、40才、41才になってしまった。
 二次会は「ビアカド。」に行き、久しぶりに会う仲間と、久しぶりにお酒を呑んだせいもあって、かなりハメを外した。三次会は、同級生のOくんとふたりで、守口市駅前の「美ら風南風 櫻家」へ。結局、3時AMまで。
 そういえば、ドリス・デイ「ケ・セラ・セラ」を初めて聞いたのは、I先生が部室でかけてくれたレコードだったかもしれない。

■ 勇気百倍 ~古書 善行堂へ~

 翌日(3/27)、昼過ぎに目覚めると、上着を着たまま寝ていて、妻と息子は出かけていた。
 まったくアルコールが抜けておらず、水をガブガブ飲みながらボンヤリしていると、M不動産屋のYさんから電話があり、先日(25日)、「たられば書店」予定物件の「古民家」の賃貸契約にあたって、家賃保証会社の審査が通ったとの連絡をもらっていた(参照)が、Yさん曰く「契約書は作成できているのですが、大家さんが念のため契約書を担当の顧問弁護士に確認してもらいたいそうで、契約までにはまだ少し時間がかかりそうです」とのこと。「もちろんこちらはゆっくりで構いません。また連絡お待ちしています」と応えたが、ちょっと心配になった。契約は来週以降になるのかも。

 夕方から、京都へ。
 まず、ずーっと、気になって、ずーっとお伺いしたかった古書 善行堂へ。
 京阪出町柳駅の階段を昇ってに地上に出ると、雨がポツポツ。傘を持ってきていなかったが、ビニール傘を買うほどでもなく、濡れて歩いた。
 2014年11月以来だった善行堂の扉を開くとき、とても緊張した(その理由は、17日の日誌を参照)が、なんとか思い切って、ガラリ、と。店内には2人ほどお客さんがいたので、しばらく棚を見させてもらった。やはり、すばらしく、感動する。
 山田稔天野さんの傘』(編集工房ノア)と、岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン『古本屋写真集』(書肆盛林堂 )【サイン本】、それから「京都古書店絵図」(京都府古書籍商業協同組合)の3点を手に、店主・山本善行さんのもとに行き、「山本さん、ご無沙汰して申し訳ありません、守口市で古本屋を開くと言っていた、『たられば書店』の山本です」とご挨拶。山本さんは「もちろん、覚えてるよ! どうしてたんや!」と仰ってくださり、恐縮の嵐。それから、「たられば書店」再始動の報告、そしてご無沙汰した非礼へのお詫びを重ねる。
 その後、山本さんは、ご自身の「日記」(「古本ソムリエの日記」)にも書いておられるが、「そう、とにかく店を開いてしまえば、なんとかなる」と励ましてくださったり、ご自身が仕事を辞め、物件を見つけ、開店するまでの日々を思い返しながら、「あのときが、いちばんしんどかった」と仰り、「それに比べれば、店を開いてからのしんどさなんて、たいしたことない。やるしかないんやから」と。
 あとは、具体的な仕入れ方法、そして「なんでも、わからんことがあったら、誰かに聞くことが大事。もちろん、ぼくでもいいし、大阪の古本屋さんでもいい。あれこれ悩んでるより、まずは聞く。そのことが、いろんな人とのつながりを生むことにもなるし、大丈夫、古本屋さんはみんなすごくエエ人やから。いつでも来てください。電話でももちろんいいから」など、さまざまなアドヴァイスをしてくださった。ほんとうに感謝だ。
 その後、ぼくは、おこがましくも「たられば書店」開店記念第1弾イベント(予定)の「山本善行×岡崎武志の『守口高校同窓会』+そして少し本のこと(仮題)」の出演依頼も。山本さんは「もちろん、わかった。岡崎にも言うとくよ。まだ守口には同級生は何人かおるし、みんな集まると思う」と。感激した。
 帰り際、ぼくは、善行さんに固く強く両手で握手していただいた。勇気百倍である。

 『古本屋写真集』は、刊行することを知ったときから、いちはやく読みたかった本。
 天牛書店周防店の写真には、30年前の山本善行さんや岡崎武志さんの姿も。守口の隣町、大阪旭区今市の今市商店街にあり、ぼくもときどき訪れる「山口書店」の写真もあった。そして、その写真のキャプションには「わが青春の古本道場」とあった。岡崎さん、そうだったのか。
 善行堂の新しいショップカードもいただいたり、今度(4/24)、岐阜・徒然舎で開催する「徒然舎開店5周年記念イベント」のカードもいただいた。山本善行×島田潤一郎(夏葉社)×深谷由布(徒然舎)「今いちばん話したいこと」というトークが行われる、「ぼく、そのイベント、もう申し込んだんですよ! 楽しみにしています」とお伝えした。

■ (初)只本屋へ

 雨が降ったり止んだりするなか、『古本屋写真集』をペラペラとめくりながら「いつか、こういう本に、『たられば書店』も載るような、そんなお店にしたいな」と思いつつ、東大路五条にある「只本屋」へ。
 19:30前に到着し、「開店1周年記念パーティー」へ参加させてもらう。
 「只本屋」は、ずいぶん前に、フリーペーパー好きの妻から教えてもらい、ずっと訪れてみたかった場所なのだが、毎月末の土日しかオープンしていないこともあって、なかなか行く機会に恵まれなかった。全国(世界?)各地のフリーペーパーのみを扱う「本屋」さんで、そのフリーペーパーは、もちろん無料で持って帰ることができる、という、なかなか優れもののお店。
 今回、ぼくは、facebookの「只本屋 WEBライター募集!」(2/17)の記事を見て、妻が「おもしろそうやし、やってみたら?」と言ってくれ、ぼくも同感だったので応募してみると、後日、担当のSさんから、「面接前の『課題』があります」というメールが届いて、そのひとつが、この「開店1周年記念パーティー」に参加し、「レポート記事を書く」というものだった。

【只本屋 WEBライター募集!】この度、只本屋ではWEBの記事ライターを募集します!フリーペーパーが好きな人、 文章が書くことが好きな人、 文化的な活動に興味のある人、そんな方をお待ちしています!只本屋では、日ごろ...

只本屋さんの投稿 2016年2月17日

 パーティー会場内は、すでにたくさんの人が集まっており、それもほとんどの人が若い方たちばかりで、「ちょっと場違いなオッサンが来てしまったかな」と思いつつも、席に座る。隣に座った男性が、話しかけてきてくださり、とても安心した。彼は、Kくんという、京都出身で、去年9月から秋田国際教養大学という、話を聞いていると、かなりおもしろそうな秋田の大学に通う学生さんで、彼自身も只本屋に来るのは初めてだということで、話が弾んだ。彼は、先日までカンボジアへ旅してきたらしく、日焼けして肌が赤かった。そして、翌日、敦賀からフェリーで秋田まで帰ると言っていて、そういう時間が過ごせることをとても羨ましく思った。
 その後、パーティーが開会すると、まずはその日集まったフリーペーパーのつくり手たちによる、自己紹介と、じぶんたちがつくっているフリーペーパーの紹介を順番に。
 たくさんのフリーペーパーと、そのつくり手の方がいたので、全部は紹介できないが、後から手にとって見てみると、どれもすばらしい出来の印刷物ばかりで、そのレベルの高さに驚いた。

 この日、ぼくが、とても印象に残ったフリーペーパーを挙げるとすれば、にしなかさんがつくっている「めいが通信」という、映画のレビューを掲載しているものなのだけど、他のフリーペーパーが、きちんと冊子になった立派なものだったのに対し、「めいが通信」はフリーペーパーらしく(?)、1枚ものの裏表カラー刷されたもので、ただし、その内容は、とても素敵なものだった。最新号で取り上げられていた作品が、ぼくも好きな相米慎二監督「台風クラブ [DVD]」だったせいもあるかもしれない。残念ながら、というか、当然ながら、後から話してみると、彼女にとって、その作品や相米慎二は、すでに「古典」の領域に入るそうで(!)、そこでぼくとの年の差を実感させられたが、相米慎二長回しが好きなら、と、現役映像作家として是枝裕和さんや、そして、これまでは、フィルムでしか観られず、なかなか上映機会もなかったが、夏にDVDが発売されることが決定している、小川紳介のドキュメンタリー作品をオススメした。

台風クラブ [DVD]

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  • 発売日: 2001/06/22
  • メディア: DVD
三里塚シリーズ DVD BOX

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  • 発売日: 2016/07/02
  • メディア: DVD
圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録 [DVD]

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  • 発売日: 2016/06/02
  • メディア: DVD
現認報告書 羽田闘争の記録 [DVD]

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  • 発売日: 2016/06/02
  • メディア: DVD
青年の海 四人の通信教育生たち [DVD]

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  • 発売日: 2016/06/02
  • メディア: DVD


■ エキスな日

 それ以外にも、スタッフから「師匠」と呼ばれているYさんと話していたときには、地域コミュニティを盛り上げ、人と人とを結びつける活動と、フリーペーパーは、ものすごく相性が良いということを再確認したり、そういうことをぼくも「たられば書店」でやってみたいんです、というお話をさせてもらったり、あとは、みんなすごく若い、各種のフリーペーパーのつくり手さんたちと話しながら、なにげに「たられば書店」の開店告知をさせてもらい、「開店したら、ぜひ『たられば書店』に、みなさんのフリーペーパーを置いてください」とお願いしたりした。「たられば書店」のショップカードを渡すと、すかさずスマフォを手に「たられば書店」と検索し、「あ、これですか?」と、この日誌のページや、facebookページを見せてくれたりもして、ぼくは、「さすが、若いというのは、こういうことだ」と感心したり。
 只本屋のお店も、古民家をほぼじぶんたちの手だけで改装したらしく、残っていた古い家具なども上手に使いながら、フリーペーパーを並べ、「靴を脱いであがって読む」ということが、「たられば書店」の課題というか、どうするのか迷っているのだが、只本屋では、それがとてもスムーズに動線としてあって、はやくフリーペーパーをみたいという気持ちが強く、実際には靴を脱いでから「脱いでいたこと」に気づく、といった感じだった。そして、立地も、お世辞にも「とても良い立地」だとはいえない、最寄りの京阪清水五条駅からは徒歩10分の場所にあり、少しわかりにくい。でも、連日賑わっているようで、Yさんによると、海外からのお客さんも半分ぐらいを占めるようだった。

 翌日は朝から出かける用事があったので、22時前にパーティー会場を後にし、市バスに乗って京阪祇園四条駅まで。そこから、京阪特急で枚方市駅まで。枚方市駅から準急に乗って守口市駅。あまりにも空腹だったので、駅前の松屋で遅い夕食をとって、帰宅したのは0時前だった。
 古書 善行堂では、山本さんの力強い「エキス」を、「只本屋」では、若いフレッシュな「エキス」をたくさんもらったので、二日酔いは知らない間に抜けていて、とてもリフレッシュした気分だった。
 帰宅して、スヤスヤ眠っている(妻と)息子の寝顔を見て、眠りについた。

 翌日(28日)は、息子を連れて、兵庫・三田市にある「有馬富士公園」へ、約3年前に参加していた「ノーバディーズ・パーフェクト」という講座@クレオ大阪東で知り合った、Wとその子どもたち2人、Hとその子ども1人と遊びに行った。目一杯、公園で遊んだ後、「たられば書店」のfacebookページに、先日コメントをくださった、大阪・箕面市にある「ひなたブック」を訪れたのだが、そこで、ぼくは、とてつもない経験をすることになった。ぼくのこれまでの(古)本屋感というものを、良い意味でガラガラと崩してしまう、そういう経験だった。だが、それについては、また別の日に書きたいと思う。

きのう(3/28)、兵庫・三田市の有馬富士公園に遊びに行った帰りに、息子とふたりで、大阪・箕面市にある「ひなたブック」に立ち寄りました。この「たられば書店開業準備中」のページに、店主の小林さんがコメントをくださるまで...

たられば書店-開業準備中さんの投稿 2016年3月28日

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