たられば書店 (仮称) 開業日誌

大阪・守口市に「まちの本屋」(たられば書店[仮称])を開こうとする試み

すべからく、こと、山本大介と申します。
大阪府・守口市近辺で本屋を開業しようと思っています。(今のところ)屋号は「たられば書店」。
日頃忘れてしまいがち/あきらめてしまいがちなこと、「もし、…し『たら』/きっと、…す『れば』」を叶えられそうな場所をつくりたいと思っています。

普段は4才の男の子の父親であり、現役「主夫」です。

いま、どんな本屋が求められているのか? ぼくはどんな本屋がしたいのか?
書店業にはほぼ就いたことのない、ずぶの素人ですが、そんなぼくが考え、実行する記録です。
※2014年12月以降、ずいぶん更新停止していましたが、再開しました。(2016.2.25~)

にちじょうごともちらほら書いています。にちじょうと本(屋)は地続きだと信じているので。



まちの本屋

 3才の息子は、いま、木村由利子・文/米山永一・絵『したてやとドラゴン』(ひかりのくに)という本に夢中だ。
 寝る前に毎晩、毎晩「読んで」とせがまれる。もう20回は読んだ。今夜も読んだ。その本は、ぼくや妻が買ったのではなくて、知り合いの人から「もう子どもが大きくなって読まなくなったから」とたくさんの本をもらったときのうちの一冊だ。
 国のお姫様を嫁にしたいドラゴンを、一介の貧しい「仕立て屋」が、知恵比べでこらしめる、というロシア民話の再話で、できそこないの「一休さん」のとんち話のようで、読んでいる方としては、おもしろくもなんともない。木村由利子の文は「もう少し工夫したらいいのに」と思わせるぐらい拙いし(なので、ぼくが文を考えて読むときもある)、何より、米山永一の絵がアニメがかっていてつまらない。
 でも、息子は、とても楽しそうだ。とくに、ドラゴンが「くしゃみ比べ」(くしゃみの音の大きさで、どちらが強いかを競う」しているときや、仕立て屋が崖の上から「おおいわ」(大岩)を落として、その岩がドラゴンの頭の上に落ちたときのドラゴンの表情が、とても楽しいらしい。

 そう、それが、本との出会いなのだと思う。そういう出会いができる、書店(本屋)をつくりたいと思う。
 セレクトショップにはとても置かれそうにない『したてやとドラゴン』のような本を並べておける本屋。
 どうすれば良いのかは、まったくわからないけれど。それは、また別の話だ。
 (『したてやとドラゴン』は、「ひかりのくに」の月刊配本作品として出版されており、あまり流通していないようで、以下の紹介ページぐらいしか見つけられなかった)

 昨日、スタンダードブックストア(心斎橋店)で買った、『HAB 新潟』(エイチアンドエスカンパニー)を読み終えた。今のぼくにとってはとても良い本だった。

 新潟にある北書店・佐藤雄一さんとB&B・内沼晋太郎さんの対談から始まり、新潟でリトルプレス『LIFE-mag.』を発行している小林弘樹さんのインタビュー、そして、新潟市で「本の店 英進道」を営む諸橋武司さんのインタビュー、「ツルハシブックス」の西田卓司さん、「古本いと本」の伊藤かおりさんらを交えての対談(内沼さんと西田さんの対談も収録)など、新潟の「本」の状況を伝える一冊だった。

 この本の出版元は、新潟の出版社かと思いきや、エイチアンドエスカンパニーの住所は、東京都杉並区本天沼、とある。不思議だ。発行人の松井(祐輔)さんが、新潟にゆかりのある人なのだろうか。
 この本に収録されている北書店・佐藤雄一さんとB&B・内沼晋太郎さんの対談は、新潟の北書店で行われたイベントを収録したものなのだけど、これまでB&Bが「街の本屋」だと語る内沼晋太郎さんを毛嫌いしていたぼくとしては、その認識をハッとするほど変えさせられた対談で、その後に場所をB&Bに変えて行われた佐藤さんと内沼さんの対談が収録されている『街の本屋の逆襲』(http://dotplace.jp/archives/11294)も電子書籍で購入してしまった(購入しなくても、DOTPLACE http://dotplace.jp/ というサイトの同名ページ「[asin:B00LWC7KEO:title]http://bit.ly/1wmvimk で全部読める)。そちらの方は、まだ読み終えていないけれど、ぼくが、ハッとさせられたのは、以下のような「街の本屋」論だった。『新潟』に収録されている内沼さんのインタビュー記事を引用してみる。

---B&Bは「これからの街の本屋」を謳っています。個人的な印象ですがB&Bを「街の本屋」とする事について、否定的な意見もあるように感じています。ここでの「街の本屋」とはどのようなニュアンスで使われているんでしょうか。

 

内沼 一人一人、「街の本屋」に持っているイメージが違うんですよ。多いかどうかは別にして、B&Bを街の本屋だと思う人はいると思いますよ。
 そもそも「街の本屋」自体に価値があるわけでじゃないですからね。「街の本屋」だから良い。「街の本屋」じゃないから良くないわけじゃないですよね。例えば喫茶店で、その喫茶店が「街の喫茶店」かどうかを考えるより、珈琲がおいしければそれでいいじゃないですか。これはB&Bの共通見解、というよりは、僕個人の意見ですけど、じゃあなぜB&Bが「これからの街の本屋」と言っているかというと、「これからの」と付いているところが重要なんですよ。非常に狭い意味での「街の本屋」、業界の人がノスタルジーとともに言うあの感じの「街の本屋」かと言えば、B&Bはその「街の本屋」ではないと思っているんですよね。それを言っている人の中にある「街の本屋」のイメージはそれぞれ違う。おばあちゃんが雑誌を買いに来る本屋かもしれないし、近所の小学生が来る本屋かもしれないし、美容院に雑誌を配達している本屋かもしれない。路面店で昔ながらのひさしに書店名が書いてあって、児童書の回転棟があるような、そんな本屋かもしれない。それぞれのイメージはあるけれども、僕が言う「これからの」街の本屋というのは、そのやり方だけでは本屋は成り立たないと思うところからスタートしてるんですよ。万人じゃないけど、ある人たちがすごくいいと思うよううな本屋だったらそれでいい。そういう人たちが下北沢という街にある本屋をめざしてきて、そこで楽しんでもらえるなら、それは完全に下北沢の「街の本屋」だと思うわけです。それが「これからの街の本屋」というニュアンスです。「街の本屋」という言葉自体には、そこまでのこだわりはないです。ただ、「これからの街の本屋」というと少し違う。「これから」というところは、すごく考えていますね。

  ↑の、もっと具体的な話が、「街の本屋の逆襲」の第2回 http://bit.ly/1wmwGW8 で展開されていて、とてもおもしろいのだけど(内沼さんに「B&Bさんはまだ街の本屋と言い張るつもりなんだ…」とツイートしたのが、古本屋ワールドエンズ・ガーデンさんだと言うのが、とても面白かった。【参照:「街の本屋」の話 – Togetterまとめ http://bit.ly/1wmwTc0 】、古本屋ワールドエンズ・ガーデンさんとは、以前、高階 杞一『早く家へ帰りたい』の朗読会に行ったときに、お話ししたことがある)、内沼さんや、佐藤さんの言いたいとことは、要は、↑のようなことだ。

 ぼくも、B&Bや、恵文社一乗寺店や、スタンダードブックストアのような書店は苦手だ(北書店には行ったことがないので、なんとも言えない)。ただ、長谷川書店隆祥館書店は苦手じゃない。

 たしかに、ぼくが好きなのは、目指しているのは、「街の本屋」であり、内沼さんが言う「ノスタルジーとともに言うあの感じの『街の本屋』」に近いものだと思う。でも、そんなことを言っていれば、「そのやり方だけでは本屋は成り立たない」のだということが、わかった。なにか、ストン、と腑に落ちたのだった。B&Bや恵文社一乗寺店やスタンダードブックストアは、「カッコつけているわけではない」のだと思った。昨日のスタンダードブックストアの面接でも聞いたことだが、単なる本の売り上げだけでは経営が成り立たないのだな、今は。そんな簡単なことも、この対談を読むまで、ぼくはわかっていなかった。
 「街の本屋の逆襲」の第2回 http://bit.ly/1wmwGW8 のなかで、「北書店は、否定的なニュアンスで『街の書店』じゃないと言われていることはないんですか?」というような問いを内沼さんが佐藤さんに向けたときの答えは、ぼくには、もっと決定的にガツンときた。

佐藤:外では言われているんじゃないですか。ウチはよく「セレクトショップ」って言われるんだけど、その表現は嫌いなんですよね。「金がなくてたくさん仕入れられないだけだよ」って。本当はガッツリ新刊とかも入れたい。ただ実際は予算もないので商品を選ばざるを得ないだけなんですよね。もちろん、好意で「セレクトがステキです」って言っていただけるのはうれしいです。ただ、「セレクトしているという事はそんなに優雅じゃないですよ」と。

「金がなくてたくさん仕入れられないだけだ」。そうなのか、北書店でもそうなのか、と。
 でもぼくは、敢えて言うなら、「『』の本屋」ではなく、「『』の本屋」を目指したい。B&Bや、恵文社一乗寺店や、スタンダードブックストアは、ぼくのニュアンス的には、「『街』の『書店』」なのだという気がする。そんな小さな違いは、ほんとうにどうでもいいことかもしれないけれど。
 そして、電子書籍『街の本屋の逆襲』(http://dotplace.jp/archives/11294)に最後に、北書店の佐藤さんは、こう書いている。

「街の本屋」ってなんなのか、自分にはよくわからないけれど、よくよく考えたらそれは街が決めることなのかもしれない。

 まったく、その通りだ。決めるのは、街であり、町であり、そこに住む人たちだ。

 まず、パンクしている原付(リトルカブ)を修理しよう、ぼくは、きょう、そう思った。
 街を、町を探検するには、まず足だ。車では早すぎる。ほんとうは自転車がいいな(我が家には自転車がない)。原付の修理代で、きっと自転車ぐらい買えるかもしれない。でも、いま自転車を買うなら、息子を乗せられるような仰々しい重い自転車になってしまう。歩くのもいいけどな。もう一度、この守口(大阪府守口市)という街を、町を見てみよう。

 きょうの最後に、じぶんを励ますために、星占いの結果を引用しておく。
 「カメリア・マキの魔女占い 2014年下半期」、「しし座」の結果だ。

 12年周期で最高の活動期に突入。努力はきっと正当な評価や収入となって返ってくる、頑張りがいのある時期。特に年内は改革や企画、自立、独立を後押しする天王星の影響を強く受けるので、今まで準備してきた事や夢に思い描いてきた計画があれば、実行に移すチャンスもやってくる。リーダーとしての役割を意識し、その資質を開花させることができるのは、目立つ場所や陽の当たるポストこそ。一列横並びで保身に精を出すより、今までの自分を越える新たなステージに挑戦したい人を運命は応援する。

ラッキー 行動力が一段とアップする9月15日~10月26日の間は、空振りや無駄足を恐れず積極的に動き回ることで、手ごたえが現れる。
要注意 火星が対立する12月6日以降から約1ヵ月は、「出る杭は打たれる」状態。抵抗勢力に無駄な力を費やすより、年内の予定は早めに終わらせ、年末年始はしっかり休暇をとって2015年前半の活動に向けて体力の温存も必要。

魔女の警告
 エンジン全開で元気一杯と言いたいけれど、この時期は2012年末から停滞する土星の影響下にいる。本来ならば人の迷惑を顧みず、動き出したらもう止まらない「やり過ぎ」を警戒したいところだが、この時期はなぜか必要以上に疑り深く、チャンスに後ろ向きになりがち。保身と安全を計るのは大人の知恵だが、それなりの満足で小さくまとまってしまうのはもったいない。後に悔いを残さないためにも、今しかできないことを考え、チャレンジしてみては。

 

HAB 新潟

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