たられば書店 (仮称) 開業日誌

大阪・守口市に「まちの本屋」(たられば書店[仮称])を開こうとする試み

すべからく、こと、山本大介と申します。
大阪府・守口市近辺で本屋を開業しようと思っています。(今のところ)屋号は「たられば書店」。
日頃忘れてしまいがち/あきらめてしまいがちなこと、「もし、…し『たら』/きっと、…す『れば』」を叶えられそうな場所をつくりたいと思っています。

普段は4才の男の子の父親であり、現役「主夫」です。

いま、どんな本屋が求められているのか? ぼくはどんな本屋がしたいのか?
書店業にはほぼ就いたことのない、ずぶの素人ですが、そんなぼくが考え、実行する記録です。
※2014年12月以降、ずいぶん更新停止していましたが、再開しました。(2016.2.25~)

にちじょうごともちらほら書いています。にちじょうと本(屋)は地続きだと信じているので。



面接

 もう10年以上前になるのか、遠い場所で、ビルに飛行機が突っ込んだきょうの午後、イオンモール大日のコメダ珈琲の店内は満員で、ぼくは、そのなか(禁煙席よりも満員の喫煙室)で、第1回「たられば書店開業会議」をシロノワールとホットコーヒーを食しながら開く。
 開くといっても、参加者はぼくひとりで、iPhone片手に、こうして書いて(打って/入力して)いるだけ、会議の議案も何もない。今まで通り、ぼんやりと考えるだけ。メモくらいもってくれば良かったと思う。何か書けるものといえば、注文伝票ぐらい。

 きょうの午前中は、スタンダードブックストアの採用面接だった。
 でも、内緒だけど(誰に?)、寝坊した。
 9時すぎに洗濯を終えて、30分だけ横になろうと布団に入って、起きたら10:10だった。
 地下鉄だととても間に合わないから、車で行こうと急いで着替えて駐車場まで行き、カーナビにスタンダードブックストア心斎橋店の電話番号入れたら、到着予定時刻が11:10で、面接の11時にはとても間に合わないことがわかった。わかったけど、とりあえず行こう、と思った。
 最初はカーナビの指示通り、阪神高速を使って行こうと思ったけど、すぐカーナビが阪神高速が都島辺りから5kmほど渋滞してることを伝えてくれて、「通過に30分かかります」と。仕方がないので、下道で行こうとルート編集のボタンを押したら、到着予定時刻は、11:26だった。でも、行くことにした(当然か)。ぼくは、時間に遅れるのはとても嫌いで、遅れるくらないなら行かないこともしばしばなんだけど、きょうは行こう、と、何かこのスタンダードブックストアの面接が、この先のぼくの行く末を決めるきっかけになるような気がしていた。
 途中、千林付近の信号待ちでスタンダードブックストアに「申し訳ありません、30分近く遅れそうです」と電話したけれど、遅れる理由は「寝坊した」ではなく、面接時間である「1時(13時)と11時を勘違いしてしまっていて」と嘘をついた。
 ちょうどそのとき、車窓の外を見ると、旭郵便局の東側の古い長屋だったところが改装されていて、「テナント募集」の貼り紙がしていて、「あー、書店開業の場所は、ずっと守口しか考えていなかったけど、千林でもいいのかもな」と思ったりしながら、信号が変わったので、アクセルを踏んだ。千林には、たしかこれといった新刊書店はなかったはずだ。あるのかもしれないけど、ぼくは国道1号線沿いにある、千賀書房(書店、だったか?)という古書店しか知らない。
 ソワソワしながらも、安全運転に心がけて(先日9/2に運転免許証を更新したばかりで、次回こそゴールド免許の更新を目指したい)、11:15すぎにスタンダードブックストアに到着。
 店舗の地下のレジの人に声をかけると、レジの奥からIさん(目つきのするどい女性)が現れて、ぼくは遅れたことを詫びた。そして、カフェの一画で面接スタート。
 まずは志望動機から訊かれた。応募(9/8)の際の電話でも話したことだけど、「これまでずっと好きだった本と、地域、地元、コミュニティと交流をもっている書店で働きたかった」というようなことを述べて、それから、いつも訊かれる、数々の転職の理由なども話した。「もうどの店も書籍担当者は足りているので、働いていただくとしても、茶屋町店の雑貨担当としてということになりますが、構いませんか?」とIさんから言われ、そのとき「あ、もう、ここは『ない』(働く機会が『ない』)かも」と思いながらも、「大丈夫です。雑貨にも興味がありますし」と言ってしまう。そうするとIさんは、すかさず「どんな雑貨に興味があり、詳しいですか?」と訊いてきたので、慌てて「手紙を書くのが好きなので、便箋やポストカードなどの紙類、筆記具などには目がない」というようなことを口にした。いま、働く(アルバイトする)としても、「雑貨担当」では、ほんとうは「やりたくない」と思いながら。「たられば書店(仮称)」を開業するための、棚づくりを学びたいのだ。その後、勤務時間のこと(「小さいお子さんがいらっしゃるなら、難しいですね」などとIさんからは言われた)や、スタンダードブックストアでの売り上げは本より雑貨の方が6:4ぐらいで多いということなどを話した。面接の最後の方でIさんから「ゆくゆくは、どのような目標がおありですか?」と訊かれたのには驚いたけど、そのとき、はっきりとぼくは「じぶんで書店を開きたいと思っています」と言えたことに、じぶんでも驚いた。Iさんが去り、簡単な筆記テスト。漢字の読み仮名や計算問題(「利益率」ということばが出ておののいた)、それから、本の作者に関するものだった。全部解いた後、一度見直して、テスト用紙を店舗のレジへ返却し帰ろうとすると(ぼくは、もう、ほんとうは「やりたくない」と思っているので、その場にいることが少し辛かったのだと思う)、「また担当者が参りますので、しばらくお待ちください」と引き留められてしまった。仕方がないので、しばらくカフェで待っているとIさんが再びやって来て「二次面接へ進んで行く場合は、1週間以内に連絡します」と伝えられた。ぼくは「では、連絡がなければ今回は不採用ということですね?」と訊ねると、「そうです。早ければ明日にでもご連絡します」とIさんは言った。まるで「明日連絡なければ(きっとあなたにはしないけど)、不採用と考えてください」と言うがごとく。ぼくも、たぶん、というか、絶対に不採用だと思いながらも、せっかく駐車場代まで払って、スタンダードブックストア(心斎橋店)に来たので(実は、9日には、あべの店に行ってみた)、地下の店内をぐるりと回った。本の選択は「さすが」としか言いようがないが、やはりぼくの求めているものと何かが違った。「敷居が高すぎる」「オサレすぎる」ように思うのだ。では、どんな品(本)揃えが良いのか? と言われると今は戸惑うばかりだけど。
 店内を回っていて気になった「文人と果物」のポストカード7枚と、田口久美子『書店不屈宣言: わたしたちはへこたれない (単行本)』(筑摩書房)、Humam And Bookstore 『HAB 新潟』(エイチアンドエスカンパニー)を購入。

 店を後にして、せっかく、というか、もしかしたら働くことになるかもしれない(ぜったいに不採用だと思いつつも、淡い期待なのか不安なのか抱いてしまうじぶんに嫌になりながら)スタンダードブックストアの茶屋町店を覗いてみたいと思い、四ツ橋筋を北上する。途中で車線変更を間違えて、高架道路に登って淀川を渡ってしまい、西中島南方まで行ってしまったけれど、13時すぎに茶屋町店着。雑貨などを見てみる。もちろん魅力的な雑貨だけれど、それをじぶんで担当して、売る、ということに現実味がほとんど持てなかった。しばらく店内をぐるりとして、津村記久子ワーカーズ・ダイジェスト (集英社文庫)』、西加奈子円卓 (文春文庫)』を購入(なんで買うのだろう?)。それから隣のMARUZEN&ジュンク堂書店梅田店に寄り、そういえば、この店でもアルバイト店員を募集していたことを思い出した。店内にも募集の貼り紙がしてあった。

 でも、そのとき、ぼくは、レジにぼんやりと立つ店員さんを見て、やっぱり、ぼくは、こういうことをしたいのではないな、と、そのときは、そうはっきりと思った。
 ぼくは、誰かの書店(本屋)で働きたいのではなく、ぼくの書店(本屋)で働きたいのだ、と。揺るぎなく。

 帰宅する前に、どこか喫茶店にでも寄って帰ろうと思ったけど止して、城北通りを東に走っていると、途中、ゲリラ豪雨に遭った。それまで晴れていたのに、とても不思議な雨だった。空模様も、ぼくと同じく不安定だ、なんて、そのときは思った。ひどい雨だったので、駐車場から自宅まで濡れるのが嫌で、イオンモール大日にでも寄って帰ろうと思って走っていたら、城北公園を過ぎる辺りから雨は上がり、でも、やはり、イオンモール大日には行くことにした。
 そして、コメダ珈琲に入り、↑の■までiPhoneで書いた(打った・入力した)。
 こんなにも長い文章を書いた(打った・入力した)のは、とても久しぶりだった。6月半ばから調子を崩して「ズンドコ」(どん底、とも言う)にいたぼくは、8月下旬まで、一度もパソコンを起動しなかったし、iPhoneもほとんど見なかった。もちろん、電話は疎か、メールもLINEもfacebookTwitterも何もかも見なかった。iPhoneGmailの未読件数が5,000通以上表示されても、見ることはなかった。ほとんど流すように見て、8月下旬にその未読を処理した(ほとんどがDMだったので問題はなかったけれど)。
 
(あぁ、そんな「ズンドコ」の時期の話は今は止めておくことにしよう)

 書くのに疲れると、Humam And Bookstore 『HAB 新潟』の北書店・佐藤雄一さんとB&B・内沼晋太郎さんの対談を読んだ。
 そして、読むのにも疲れると、「ズンドコ」中に手紙やメールや電話をくれていた、IさんとHくん、それから、何もくれていないけど、おそらく気にかけてくれているAくんに「文人と果物」のポストカードで手紙を書いた。
 コメダ珈琲を出た後、エスカレーターで3Fに行き、無印良品でノートと定規とセロテープを買った。そして、また小川珈琲に入って、アイスコーヒーを飲みながら、『新潟』を読んだ。隣には、おばさんが息子や息子の嫁のことを、そのおばさんといまいち関係がわからなかったおじいさんに愚痴をこぼしていた。

 

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